インテリア
玄関を入るとそこは、非日常の空間。グランドピアノのラインをなぞるかのように、曲線をかたち取った天井や床、マッキントッシュのチェアも魅惑的だ。グランドピアノのほかにも、電子オルガン、ギター、バイオリンなどの楽器が並び、すぐにセッションが始まりそうなステージのようだ。「“楽屋口”というイメージを演出したい」という奥様とコーディネーターが相談し、輸入の洗面ボウルと間接照明で構成して洗面台も配置した。ここで奥様は作曲に没頭される。玄関ホールとひと続きになったリビングルームは、一段やわらかなモノトーンでまとめられた。そして、アイアンとガラスで作られた扉の向こうにダイニングルームが見える。一方、玄関ホールのグランドピアノの奥には、和室があり、奥様の茶碗のコレクションが飾られ、お茶を点てることもあるという。
2階は、家族と猫とがくつろぐプライベートスペース。ホールには、天井と造作机をともに曲線で呼応させたPCコーナーとファミリーリビングを。部屋の壁紙は各々で選び、それぞれの世界観をつくりながらも、扉は極力付けず、いつも家族の気配を感じながら暮らせるように設計した。
人が常に集い、居心地のよさから長居する人が多いというのもうなずける、個性的ながらも落ちつける住まいだ。