眼前に広がるのは、湖や森の清々しい風景。ご実家の敷地に建てた2階建ての家は、「両親の思い出と共に暮らしたい」というN様の希望に応えた工夫が随所に見られ、モダンさの中にもどこか懐かしさの感じられる空間だ。
穏やかな湖の風景を損なわない、シンプルな外観。幾何学柄の門塀は、ご両親の代に掘ったという井戸を囲っている。ご両親の思い出を残すための建築家のアイデアが、個性的なアクセントにもなっている。
ご夫婦2人の暮らしやすさを考えたコンパクトな設計ながら、吹き抜けや、湖を見晴らせるウッドデッキなどにより、開放感のある空間が作られた。ダイニングの主役は、ウォルナットの一枚板のテーブル。森と湖の絶景を眺める絶好の場所だ。また、リビングで存在感を放つ薪ストーブは、T様のお母様も憧れていたというもの。その思いを引き継いだT様にとっても、今や夫婦や友人たちとのくつろぎの時間に欠かせない存在だ。
T様ご夫婦とクリエイティブパートナーが対話を重ねた結果、完成したのは、約50年間、この土地に暮らしたというご両親の思い出が様々な場所に息づく家。ベンチが設置された玄関は、お父様の蔵書や、お母様が描いた絵などを飾るギャラリーになった。湖の美しい風景を最大限に取り入れた設計も、ご両親の大切なものを受け継いだ証。かけがえのない記憶と共に暮らすこの家に、T様ご夫婦も、日々新たな思い出を刻んでいる。
建築実例一覧に戻る