ニュースリリース

2000.7.28
三井ホームと三菱レイヨン
湿式の外壁通気工法を共同開発
PAW(パワーエアーウォール)工法

  • 下地表層のクラックの発生量を抑制
  • 従来の湿式通気工法に比べコストダウン
  • 性能表示制度の劣化対策等級で最上級を実現

三井ホーム株式会社(本社:東京都新宿区、社長:高橋 邦男)と三菱レイヨン株式会社(本社:東京都港区、社長:皇 芳之)は、このたび、住宅金融公庫の融資対象全地域で次世代省エネルギー基準をクリアする、湿式仕上げ用外壁通気工法※1を共同で開発いたしました。サイディングなどに代表される乾式工法とモルタル塗りの湿式工法を融合した外壁下地工法で、耐久性に優れ、さまざまな仕上げ材に対応できます。
三井ホームは三菱レイヨンから下地材のセメントボードの供給を受け、自社施工の専用住宅に全国で湿式外壁仕上げ用通気工法として標準採用し、9月出荷分から対応いたします。工法の概要と主な特徴は以下のとおりです。

  • ※1 外壁通気工法
    構造躯体と外壁材との間に通気層を設けた工法。

1.PAW(Power Air Wall)工法の概要

PAW工法はモルタルの下地材としてのデラクリートセメントボード(3を参照)と、専用に開発した樹脂混入モルタルを組み合わせた工法で、日本の気候風土・建築条件に合わせ、独自に開発した半乾半湿工法です。従来の湿式通気工法よりもモルタル塗厚を薄くできるため、施工性を高めることができ、品質確保が容易になるとともに、コストダウンを実現しました。
防火構造及び準耐火45分の国内認定を取得済であり、準耐火60分の認定を今年中に取得予定です。

2.PAW工法の特徴

(1)施工性が向上
デラクリートセメントボードを下地とすることで、現場施工による外壁の性能を確保するために必要なモルタルの塗厚が従来より薄く、施工性・品質精度が向上します。デラクリートセメントボードの芯材は可とう性※2があり、曲面壁にも対応可能です。また、各種湿式系塗材、タイル、擬石材など、乾式材も含め幅広い外装材に対応できます。

  • ※2 たわみやすさ。利用可能曲率は当社基準では1.8mとしています。

(2)優れた耐久性
本工法はセメント系ボードと樹脂モルタルとの組合せによるセメント系複合下地であり、耐火性、耐水性、耐凍結融解性※3に優れています。

  • ※3 凍結による破損・変形がしにくいこと。

(3)下地表層のクラックの発生量を抑制
PAW工法では、下地の表層部に発生するクラックの発生量を従来の20%以下※4とすることができ、現場での監理負荷が低減され、安定した品質・施工精度をより容易に確保することが可能となりました。

  • ※4 三井ホーム社内試験による、従来の湿式外壁通気工法比。

(4)コストダウン
従来の湿式外壁通気工法に比べ、約10%強のコストダウンを実現しました。

3.デラクリートセメントボード

デラクリートセメントボードは、無機軽量骨材入ポルトランドセメントを芯材とし、その表裏両面にガラス繊維ネット(耐アルカリ性)を埋め込んで補強した内外装不燃下地材のセメント系ボードです。
防火性・耐水性、耐凍結融解性、防虫・防蟻・防腐などのほか、面材内にマイクロクラック※5をあらかじめ発生させることにより、曲面壁に対応可能という特徴をもっています。
本製品は、製造元である世界最大の石膏ボードメーカー、USG社(United States Gypsum Company)が1980年に開発し、米国内では主に内装水廻り(バスルーム、キッチンなど)用の下地施工システムを中心に用途を拡大してきました。
三菱レイヨンでは1990年、建設省総合技術プロジェクトの新機能性外装材の研究に取り組み、デラクリートセメントボードの日本市場における施工性、耐久性の確認を行ってきました。1993年、住友商事をパートナーとしてUSG社との独占的輸入販売契約を締結、建設省認定を取得し、以来、総販売元として本製品を全国で販売しています。

  • ※5 曲面加工を可能とするため、ボード表面に微細孔を意図的に発生させ、ボードの柔構造を実現するもの。

4.三井ホームの建物に採用

  • 三井ホームは次世代省エネルギー基準対応としている専用住宅について、本工法を湿式外壁の標準仕様といたします。
  • また、本工法を採用した三井ホームの専用住宅は、先に告示された性能表示制度においては、劣化対策等級について、木造住宅の等級3※6 が得られます。
  • ※6 等級3
    「通常想定される自然条件及び維持管理の条件の下で3世代(おおむね75~90年)まで、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策が講じられている」建物。

三菱レイヨン株式会社

所在地
東京都港区港南1-6-41 品川クリスタルスクエア
社長
皇 芳之
資本金
532億29百万円
主な事業
合成樹脂及び合成繊維の製造販売
(機能化学品を主体とした土木建築材料の製造販売含む)

三井ホーム株式会社

所在地
東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル18階
社長
高橋 邦男
資本金
139億70万円
主な事業
ツーバイフォー住宅の販売・施工
年間、約8000棟の住宅を受注
この件に関するお問い合わせ先

総務・広報グループ:03-3346-4649

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