2023.05.19
~環境に配慮し、保育園児やスタッフにもやさしい木造の保育園~
当社初「ZEB Ready※1」を取得した木造保育園が竣工
東京都練馬区の「にじいろ保育園高野台」
三井ホーム株式会社(本社:東京都新宿区、社長:池田 明)は、当社設計・施工の保育園「にじいろ保育園高野台」(運営事業者:ライクキッズ株式会社)が2023年2月に東京都練馬区で竣工し、4月に開園されたことをお知らせいたします。


- 【本施設の特長】
-
- 当社初の「ZEB Ready」を取得した保育園
- 炭素貯蔵量の約150t-CO₂※2はスギの木(35年生)に換算すると約600本分※3に相当
- 約80帖の大空間や外観の丸い窓・カラフルな階段等、保育環境に配慮して工夫した空間提案
- 内装にはふんだんにヒノキを使用し、木質感により保育園児やスタッフへのリラックス効果を演出
本施設は、当社初となる BELS評価の「ZEB Ready」を取得した保育園です。昨今の環境問題への配慮や保育園児やスタッフへの快適な施設の提供を目的に、運営事業者が木造枠組壁工法での建築を選択し、木造施設建築の実績を5,700件以上もつ当社が施工することとなりました。
近年では、2021年の「改正木材利用促進法」の施行や、昨年8月の「建築物木材利用促進協定」制度の創設などにより、民間建築物を含めた更なる木材利用の促進に向けた環境が整備されつつあります。
当社は、サステナビリティブランド「&EARTH with WOOD」を掲げ、今後も環境負荷を低減するサステナブルな循環型資源である「木」を活かし、人と地球環境にやさしい施設系建築物の提供に努め、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
- ※1 「ZEB」とは「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略称で「ゼブ」と呼ぶ。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した非住宅の建物。このZEBシリーズのうち、「ZEB Ready」は基準一次エネルギー消費量を50%削減することでBELS評価により認証される。
- ※2 林野庁「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン(令和3年10月1日)」をもとに算出
- ※3 スギの木1本あたりに固定された炭素量を68㎏として算出((国研)森林研究・整備機構森林総合研究所の算定解説より)
1.物件概要
本施設は、東京都の社会課題である待機児童の解消と少子化対策のために、練馬区が保育所用途に指定した土地に、当社が施工いたしました。当社の注文住宅の施工によって培ってきた技術を使用し、保育園児や本施設で働くスタッフへの健康に配慮した戸建ての保育所です。

施設名称 | にじいろ保育園高野台 | |
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所在地 | 東京都練馬区高野台三丁目16-1 | |
運営事業者 | ライクキッズ株式会社 | |
スケルトン工事 | 設計・施工 | 三井ホーム株式会社 |
内装工事 | 設計監理 | 株式会社岩本建築デザイン事務所 |
施工 | 三井ホーム株式会社 | |
建築用途 | 保育所 | |
規模構造 | 地上2階建て 木造枠組壁工法 | |
敷地面積 | 529.30㎡(160.11坪) | |
建築面積 | 278.91㎡(84.37坪) | |
法定延床面積 | 513.00㎡(155.18坪) | |
工事工期 | 2022年9月着工 ~2023年2月竣工 |
2.本施設の特長
■施設の木造化による脱炭素社会への貢献
(1)保育園において当社初の「ZEB Ready」を取得
脱炭素社会の実現に向け、戸建住宅のZEH化が進む一方、2021年度の国内の新築建築物におけるZEBの実績は約0.40%と低く、今後の普及が課題とされています。本施設は、高い断熱仕様により、建築物省エネ法で国が定める基準と比べ、一次エネルギー消費量65%削減という高い水準を実現し、同基準の一次エネルギー消費量を50%以上削減することで適合するBELS評価の「ZEB Ready」を取得しています。これは、ZEBシリーズの中でも、「ZEB Oriented」を超える省エネ性能の高さです。

「ZEB・ZEHーMの普及促進に向けた今後の検討の方向性について」
※グラフは上記資料に基づき当社作成

「ZEB Ready」を実現するためには建物の高い断熱性能が必要ですが、当社の木造枠組壁工法は高断熱・高気密な工法であり、外皮性能は当社の戸建住宅の標準仕様と比べても、特別な工夫を必要とせず高い断熱性能を実現しています。また、一次エネルギー消費量の削減については、高効率な給湯器や天井カセット型エアコンを中心とした高効率な空調機を使用することで基準を達成しています。
【高断熱な木材と枠組壁工法の特性】

【高効率な設備】

(2)建築物の木造化による長期間の炭素の固定化
木造建築は長期間炭素を大気に戻さず建物内に固定化します。本施設は、構造体を中心に多くの木材を使用し、木材使用量は172㎥、それによる炭素貯蔵量は149t-CO₂です。これは35年生のスギの木598本の森に相当します。

■プランニング上の特長
(1)外観デザイン
視認性が高い前面道路側のファサード面に丸い窓を採用し、保育園の外観に柔和な印象を添えています。また、この窓は内部からは神社の参道が見えるように配置されており、園内の保育園児に解放感を感じさせます。

(2)工法特性による大空間
枠組壁工法は、床面・壁面・天井面の六面体で構成するモノコック構造であるため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に見られる構造上の柱型が存在せず、開放的かつ効率的な空間設計が可能です。本施設においても、その工法特性を活かし、2階に約80帖の大空間を設けています。この空間は、平常時は3・4・5歳児の3部屋に分けて使用していますが、イベントなどの際に間仕切りを無くして使用する等、フレキシブルな用途変更が可能です。

(3)保育環境に配慮した空間提案
本施設は以下の点について、保育環境に配慮した工夫をしています。
- 内装材にはヒノキをふんだんに使用して木質感を高め、木の香りや木の触り心地によるリラックス効果を演出。
- 保育園児が環境を楽しめるように、階段の段の間の蹴込み板やトイレ内のドア等をカラフルに配色。
- 災害の際、バルコニー経由の避難が必要ないように、効率的な動線を確保しながら、各保育室を配置。
- 園庭※4を配置し、保育園児の安全や水遊びを行うことによる発育にも配慮。



- ※4 「保育園を考える親の会」の「100都市保育力充実度チェック」によると、調査した100市区平均で2022年度の園庭保有率は69.8%、東京23区平均では39.8%、千代田区、中央区、文京区、港区は園庭がある園は2割に満たない
(参考)当社のその他の保育園施工例
<にじいろ保育園海岸三丁目>

建築地 | 東京都港区 |
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延床面積 | 866.62㎡(262.21坪) |
階数 | 2階建て |
竣工年 | 2021 |
特長 |
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<にじいろ保育園梅ヶ丘>

建築地 | 愛知県名古屋市 |
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延床面積 | 385.22㎡(116.52坪) |
階数 | 平屋 |
竣工年 | 2020年 |
特長 |
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https://www.mitsuihome.co.jp/company/news/2020/0326.html(当社ニュースリリース)
- ※5 CLTとは Cross Laminated Timber の略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料。耐震性、耐火性、施工精度などに優れ、建築の構造材の他、土木用材、家具などにも使用されている。
三井不動産グループのSDGsへの貢献について
https://www.mitsuifudosan.co.jp/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわちESG経営を推進しております。三井不動産グループのESG経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。また、2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、下記の通りグループ指針を策定しました。今後も、三井不動産グループは街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。
参考
・「脱炭素社会実現に向けグループ行動計画を策定」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1124/
・「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言および取り組み方針を策定」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1129_02/
※なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における7つの目標に貢献しています。
- 目標3
- すべての人に健康と福祉を
- 目標7
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 目標11
- 住み続けられるまちづくりを
- 目標12
- つくる責任つかう責任
- 目標13
- 気候変動に具体的な対策を
- 目標14
- 海の豊かさを守ろう
- 目標15
- 陸の豊かさも守ろう


三井ホーム株式会社 広報グループ: 03-3346-4649