ミニチュア2階建住宅と洪水ハザードマップ

KNOWLEDGE

災害時、もし避難所がいっぱいだったら…。
今考えるべき「在宅避難」とは?

MAR.11.2026

日本は地震のリスクが高い上、台風の直撃も多く災害に見舞われる可能性が高い国です。日本で暮らしている以上、災害時の避難について日頃から考えておくことは、命や心の安全につながります。

災害後も自宅で生活したいと思う人は多いでしょう。そのような場合に検討できるのが「在宅避難」です。在宅避難の基本とともに、在宅避難の可否を決める判断基準や、いざ災害が起こったとき自宅で過ごすための備えを把握しておきましょう。

POINT

  • 在宅避難は、自宅の安全が確保されている場合に選択できる避難方法の1つ
  • 在宅避難が可能かどうかには、被災後の状況に加えて、建物・土地の安全性や備蓄・防災対策の有無も関係してくる
  • 在宅避難のメリットは、避難所での生活することがないため、プライバシーが守られた生活ができる

災害時の安心を守る「在宅避難」

自宅で非常用持ち出し袋やハザードマップを囲んで相談する親子

大地震や台風による風水害といった災害に見舞われたとき、避難所での生活のほか、自宅で過ごす「在宅避難」も検討できます。まずは在宅避難が何なのかとともに、被災後に自宅での生活を希望する場合に把握しておきたい注意点を解説します。

被災時に避難所ではなく自宅で過ごすこと

災害が起きたら、自治体から「警戒レベル4」の避難指示が出されるまでに、基本的には対象地域の全員が避難するように国が呼びかけています。とはいえ、避難指示は「安全な場所に避難する」という意味であり、必ずしも避難所(地域防災拠点・指定避難所)に行かなければならないとは限りません。

避難所には入れる人数に限界があるため、一部の自治体では自宅の安全が確保できるなら被災後も自宅で過ごすことを推奨しています。これが「在宅避難」です。

自分や家族が安心して過ごせるのはもちろん、確実に自宅で過ごせる状況で避難所に行かない選択をすれば、本当に避難所が必要な人の生活場所の確保につながります。

参考:「警戒レベル4」で危険な場所から全員避難!5段階の「警戒レベル」を確認しましょう | 政府広報オンライン

参考:防災知識 在宅避難のススメ|千代田区防災ポータルサイト

どんなケースでも選べるわけではない

在宅避難を検討する際に注意したいのが、どのような状況でも自宅にとどまれるわけではない点です。例えば大地震で家が倒壊・大破してしまったり、深刻な水害で家が浸水してしまったりしている場合は自宅で暮らすのは困難かつ危険です。

地震においては、最初の揺れで大きなダメージを受けなくても、余震によって大破・倒壊に至って命の危険にさらされる可能性があります。実際、2024年の元旦に発生した能登半島地震では、最初の揺れで倒壊しなくても、度重なる震度5弱以上の余震によって倒壊してしまった家が見受けられました。

被災後の自宅の状態・状況や土地・建物の安全性などを総合的に考えて、「確実に自宅が安全である」と判断できた場合のみ、在宅避難が可能と考えましょう。

参考:在宅避難のすすめ 横浜市

事前の判断と備えが必要

大きな災害に見舞われた直後は、恐怖や不安から冷静な判断が難しくなることもあるでしょう。被災してすぐ、土地の特性や家の耐震性をチェックして、その後に大きな被害を受ける可能性があるかどうか判断するのは、簡単ではありません。

もちろん、第一の基準となるのは実際に被災したときの状況ですが、万が一の大災害が起こる前に、自分の住む家は在宅避難ができる可能性が高いかどうか、事前にチェックしておくことはできます。

万が一のとき在宅避難ができるかどうか

ノートパソコンでハザードマップを調べる人

在宅避難には、被災後の状況に加えて事前のチェックが必要です。では具体的に何を基準に在宅避難ができる可能性を判断すればよいのでしょうか。土地・建物・日頃からの備えという3つの観点から、判断基準を見ていきましょう。

1.家の建物としての安全性が十分かどうか

自宅が建物として安全な構造かどうかは、在宅避難の可否を左右する大きなポイントです。災害が起きたときに人命を守れるよう、建築基準法ではさまざまな安全基準を定めています。全ての住宅を含む建築物は、建築基準法や施行令の定めに準拠して建てなければなりません。

ただ、建築基準法に定められているのは「最低限守るべき基準」であって、大きな余震が続くような地震などの大災害でも確実に安全という基準ではない点に注意が必要です。住宅の性能をチェックするときに役立つのが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて運用される「住宅性能表示制度」です。

住宅性能表示制度では、例えば耐震性について耐震等級が1〜3まで設けられており、等級1の耐震性は建築基準法レベル、等級2は等級1の1.25倍・等級3は等級1の1.5倍の耐震性です。

2016年に起きた熊本地震では、木造住宅において、建築基準法レベル(耐震等級1)や住宅性能表示未取得の住宅の約4割に被害があったのに対し、耐震等級3を取得している住宅では9割近くが無被害だったという調査結果が出ています。

参考:パンフレット | 書籍・パンフレット「新築住宅の性能表示制度かんたんガイド」P.6「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」P.6 | 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

参考:「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント P.5|国土交通省 住宅局

2.家が建っている土地が安全かどうか

災害時のリスクは、地震でも風水害でも土地の安全性に大きく左右されます。地盤が弱い・海岸が近い・土砂崩れが起きやすいといった条件がある土地では、建物自体が強くても大きな被害を被る可能性があるでしょう。

特に水害については、自治体が公表しているハザードマップで、自宅のある場所が「洪水浸水想定区域」「土砂災害警戒区域等」などに入っていないかどうかの確認が必要です。

ハザードマップは、国土交通省のハザードマップポータルサイトからも自分の地域の情報を見られます。ハザードマップポータルサイトでは、地震に関しても「津波」の項目を選べば、想定される津波の高さをチェックできる仕様です。

3.備蓄や被害縮小の対策ができているか

在宅避難を実現するには、建物や土地の安全性に加えて備蓄や災害対策も欠かせません。避難所で物資を受け取ることはできるものの、小さな子どもやペットがいる家庭では頻繁に避難所に足を運ぶのが難しい場合もあるでしょう。

被災後の状況にもよりますが、在宅避難ができるかどうかの判断基準には、自宅に十分な備蓄があるかどうかも含まれます。被害を最小限にとどめる対策ができているかどうかも、在宅避難の判断基準です。

在宅避難を望むなら、後述する備蓄の内容や必要な備えをチェックして、被災後も自宅で過ごせる可能性を高めておきましょう。

在宅避難を選ぶメリット

「MERIT」と書かれた5つのウッドブロックと白い画用紙・ペン

被災後も自宅で過ごす在宅避難を実現するには、土地や建物の安全性に加え、日頃からの備えも必要です。中には「避難所に行けば物資が得られる」「備えが面倒」と感じる人もいるかもしれません。

ただ、在宅避難には避難所の受け入れ可能人数を増やすという社会的なメリットはもちろん、自分や家族にとってのメリットもあります。具体的にどのような利点があるのか、主に子育て世帯向けのポイントをまとめました。

子どもやペットがいても気を使わずに済む

避難所では、多くの人と共に生活を送ることになります。赤ちゃんや小さな子どもがいる場合、周囲の迷惑になるのではないかと不安になる人も多いのではないでしょうか。ペットがいる場合も、環境省がペットを連れた「同行避難」を推奨しているものの、鳴き声や臭いなどに気を使って心労がたまるかもしれません。

子どもやペットにとっても、いつも過ごしている自宅と違う場所での生活は大きなストレスになり得ます。在宅避難であれば、普段通りに過ごせるため、子どもやペットのストレスも軽減できるでしょう。

参考:環境省_報告書等「人とペットの災害対策ガイドライン 災害への備えチェックリスト」 [動物の愛護と適切な管理]「1.ペット同行避難の受入れ」PDF

プライバシーが保護される

避難所での生活でしばしば問題になるのが、プライバシーです。自治体ではプライバシー保護のため、仕切り板などを使って可能な限りのプライバシー保護に努めていますが、自宅のように完全に「家族だけの空間」をつくるのは難しいでしょう。

特に小さな子どもがいる家庭では、通学に関する会話を聞かれることで犯罪被害に遭う可能性が高まるのではないかと不安になるかもしれません。在宅避難であれば住み慣れた自宅で過ごすため、このような心配をせず生活できます。
厚生労働省の「自治体の災害時精神保健医療福祉活動マニュアル」によると、被災後数日(超急性期)は、不安や緊張・過敏といった心理的症状が出やすいとされています。メンタルヘルスの維持にも、在宅避難は有用な選択肢です。

参考:心の健康「自治体の災害時精神保健医療福祉活動マニュアル(ロングバージョン)」P. 6|厚生労働省

感染症のリスクを軽減しやすい

感染症にかかるリスクが減るのも、在宅避難のメリットです。避難所では人数が多い場合、密集して生活することになるため感染リスクが拡大します。厚生労働省は新型コロナウイルスに関して、感染リスクが上がる場面に「狭い空間での共同生活」を挙げました。

これは新型コロナウイルスに限らず、風邪やインフルエンザなど飛沫感染が起こる感染症には当てはまる事柄です。家族のみで過ごせる在宅避難なら、感染症にかかる可能性は避難所での生活に比べて大幅に下がるでしょう。

参考:新型コロナウイルスに関連した患者等の発生について(1月6日各自治体公表資料集計分)|厚生労働省

在宅避難に必要な備蓄品

非常用持ち出し袋とカセットコンロ

被災後も自宅で過ごせるメリットを考えると、やはり避難所での生活より在宅避難のほうが良いと感じる人が多いのではないでしょうか。建物や土地の安全性が前提にはなりますが、十分な備蓄を用意しておくことも在宅避難に欠かせません。具体的に何を用意するべきかを、カテゴリー別に紹介します。

飲料水や食料

全国災害ボランティア支援団体ネットワークは、災害時に必要な食料や飲料水の備蓄は、まず3日分を目標に用意するよう呼びかけています。飲料水・食料として必要な備蓄は、以下の通りです。

  • 飲料水(1日当たり1人3リットルが目安)
  • 主食(レトルトのご飯や麺類など)
  • 主菜(レトルト食品や冷凍食品など)
  • 加熱せずエネルギー源にできるもの(ドライフルーツやナッツなど)
  • 調味料
  • 菓子類(スナック菓子やチョコレートなど)

食料品の備蓄には、普段食べているものを多めに買っておき、消費したら買い足すという「ローリングストック」もおすすめです。特別な行動をしなくても、一定量の備蓄が常に置いてある状態をつくれます。

参考:ノウハウ集「【コロナ禍でもすぐできる!防災アクションガイド】在宅避難の備え」PDF|全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)

情報収集や連絡に必要なアイテム

災害時には、情報収集をしたり家族と連絡を取ったりするためのアイテムも必要です。スマートフォンやその充電器はもちろん、停電したときのためにモバイルバッテリーも準備しておきましょう。

モバイルバッテリーには、容量や給電方法にさまざまな種類があります。容量が大きければ家族全員分のスマートフォンを何度か充電できますが、その分だけ本体が重くなる点に注意が必要です。太陽光で電力をためるタイプのモバイルバッテリーは停電時にも日に当てれば給電できる一方、日照時間が短いと十分な電力がたまらない可能性があります。

被災後の状況(停電が復旧するまでの見込み日数や家族の人数・日照時間が長い時期かなど)に合わせて使い分けられるよう、いくつか種類を用意しておくのがおすすめです。

日用品・衛生用品

災害時には、飲料水や食料品だけでなく、日用品・衛生用品の流通が止まることもあります。こちらも飲料水・食料品と同じく、ローリングストックも取り入れながら最低3日は自宅で過ごせる備蓄を用意しましょう。

主に必要な日用品・衛生用品は以下の通りです。

  • 生活用水(断水時、手を洗うなどに使用)
  • 救急セット
  • 常備薬
  • ライター
  • 乾電池
  • ティッシュペーパー、トイレットペーパー
  • ウェットティッシュ
  • 生理用品(女性がいる場合)
  • ラップ
  • 使い捨ての食器(紙皿や割り箸・スプーンなど)
  • ごみ袋
  • カセットコンロ

停電時の安全確保のために、懐中電灯もあると安心です。普段使わないものはローリングストックができないので、災害時の備えとして別途購入しておきましょう。

暑さ・寒さ対策グッズ

災害はどの季節に起こるか予測できません。さらに停電したりガス・灯油などの燃料の供給が止まったりすると、自宅にいてもエアコンや暖房が使えず、暑さや寒さで体を壊してしまう恐れがあります。

暑さ対策には、水にぬらすと冷たくなるタオルやうちわなどが有用です。寒さ対策として用意しておきたいものには、携帯カイロや毛布・寝袋・カセットガスを使うストーブなどが挙げられます。段ボールも、窓際に立てかけておくことで室温の低下を防げる便利なアイテムです。

停電が続くときに役立つものも

大きな災害の後に停電が長く続く可能性は、決してゼロではありません。2011年の東北地方太平洋沖地震では、地震の発生から8日で94%の停電が解消されました。つまり1週間以上も、電気が使えなかった地域があったということです。

これほど長く停電が続くと、電気なしで在宅避難を続けるのは難しくなってくるでしょう。そんなときに便利なのが、ポータブル電源です。ポータブル電源とは、モバイルバッテリーに比べて大容量・高出力で、USB出力のほかAC出力(通常のコンセントに対応)を備えたものが多いアイテムです。

ポータブル電源をあらかじめ給電しておけば、容量174,000mAh・626Whのものならスマートフォン1台を約35回も充電できるとされています。扇風機や電気ストーブなどにも使えるため、暑さ・寒さ対策にも役立つでしょう。

災害が起きたときに向けた在宅避難の備え

家具の上部を突っ張り棒で天井に固定している様子

災害に見舞われても安全を保てる状態になっているかは、在宅避難の可否に大きく関わります。安全を確保したり、できるだけ被害を最小化したりする対策をしておきましょう。地震・風水害・共通に分けて、基本的な対策を解説します。

地震への対策

地震が来たとき自宅の安全を保つには、まず家具の転倒や破損・落下・移動による被害を防止する対策が必要です。東京消防庁は、具体的な対策として以下のような行動を挙げています。

  • 転倒防止用の金具で床に固定する(2段に分かれた家具などは、上と下を接合するように固定。壁や柱に固定するときは、L型金具・モクネジ・突っ張り棒で家具の上部を固定)
  • 食器棚や窓などのガラスが割れて飛び散らないようにする(ガラス飛散防止フィルムを貼る)
  • 高いところに危険なものを置かない
  • 本棚のように物を収納する家具には、下のほうに重いものを収納して重心を下げておく

スリッパやスニーカーなどの履物を近くに用意しておく、停電時も足元が見えるよう懐中電灯を手元に置いておくなどの対策も、家の中でケガをするリスクの軽減に有効です。

参考:地震に対する10の備え | 東京消防庁

風水害への対策

台風・大雨・強風などによる風水害には、地震とはまた違った対策が求められます。具体的な対策は、以下の通りです。

  • 外壁やブロック塀のひび割れなどの損傷はしっかり補修しておく
  • 屋根・雨戸を補強する
  • 鉢植えや物干しざお・プロパンガスのボンベなど、風で飛ばされそうなものを固定する
  • 排水溝や側溝がつまって水であふれないように、しっかり掃除して水の流れを良くする

強風による物の飛来で窓ガラスが破損するのを防ぐには、地震対策と同じようにガラス飛散防止フィルムを貼るとよいでしょう。

参考:備えよう! 風水害対策 [(準備編)風水害にどう備えるか] |浦安市防災のてびき|浦安市

共通する備え

在宅避難を検討するに当たって、災害の種類によらず必要な備えもあります。第一に大切なのが、日頃から地域住民と交流を持っておくことです。物流の回復までに時間がかかれば、避難所に物資をもらいにいく必要が出てきます。町内会単位で取りに行くケースもあるため、普段から地域住民の方と関わりを持っておくとスムーズです。

また、災害の種類によらず、被災前の想定や被災直後の状況からは在宅避難が可能でも、途中から避難所に移らざるを得ない可能性もあります。避難所までの安全な経路をあらかじめチェックし、家族間で連絡手段・避難時のルールなども決めておきましょう

まとめ

地図を見て避難経路をチェックする家族

在宅避難は、自宅の安全が確保できた場合に選択できる避難の仕方です。避難所に比べて、気を使う場面が少ない、感染症のリスクが軽減するという大きなメリットがあります。在宅避難ができるかどうかは被災後の状況によっても変わりますが、まず家の構造や土地が安全であることが大前提です。

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