住まい選びの基準は、大地震でも潰れない家。この家の躯体の強さは絶対的に信頼しています。

ご主人が気に入ったというリビングの出窓からは明るい陽光が降り注ぎ、庭の美しい緑の景観が楽しめる。

私は浜松出身ですが結婚後まもなく名古屋へ転勤となり、その後も各地へ転勤が続きました。でもいつか浜松へ戻ることを視野に入れ、今暮らしているこの土地を購入したのです。それで家づくりの頃合いを見極め、転勤先で住宅展示場をいろいろ見て回りました。三井ホームを選んだ一番の理由は東海地震に対する備えです。幸いにも34年間大きな地震はありませんが、この家の躯体は絶対的に信頼しています。同じ頃に建てた家がすでに取り壊されて建て直しているのも見てきましたし、ツーバイフォー工法以上の強度を持つ躯体などないような気がしますね。建物のデザインやセンスの良さも申し分なく高級感がありました。各地の住宅展示場で三井ホームのさまざまなモデルハウスを見ましたが、中でも「ローヌ」という商品のモデルハウスはとても気に入りました。妻は当時珍しかった対面キッチンに憧れたようですが、私はリビングの出窓が決め手となって同じデザインの家を建てたのです。

私が一番こだわったのはキッチンです。料理をしながら家族と話ができること。それを第一条件で設計してもらいました。私の身長に合わせたつくりなので、娘たちが使うには高さが低いようですね。当時、3世代使える住宅という丈夫さに惹かれてこの家を建てましたが、ふたりの娘はそれぞれ家を建てました。そこで夫婦ふたりでは広すぎるため、この家を処分して引っ越しも考えましたが、娘たちに大反対されてやめたのです。下の娘は孫を連れて毎日うちに来ますが、ここに住むつもりはなくても愛着を感じ、帰れる場所として残したいのでしょう。

この家を建てる前に夫婦で松本へ旅行し、「鯛萬」というレストランで食事をしました。フレンチの名店として知られる店内はすべて松本民芸家具で統一されており、私も妻もその雰囲気が大変気に入りました。そして松本民芸家具をいろいろ買い揃え、そのイメージを家づくりに生かしたのです。リビングやダイニングは造作家具まで松本民芸家具のテイストでつくり上げ、和室や離れなどのリフォームにおいても、同じ雰囲気のデザインで揃えています。リビングと和室の間にある引き戸も、旅行の宿泊先にあった格子戸が気に入り、後から特注でつくったものなのです。

夫はとてもきれい好きで、朝起きると雑巾を絞り、カウンターやテーブルを拭かないと気が済まないのです。使わないものは片付けて不要なものは置かない主義。自分が機能的に動いて暮らせるようにしたいという想いで、半世紀にわたる企業人の習性から抜けられないのでしょう。私は長年続けているパンと菓子づくりや、庭の草花を生けたり、テーブルクロスを替えたりと部屋の中のコーディネートを楽しんでいます。私たちは夫婦それぞれの流儀で暮らしていますが、お互いこの家にとても愛着を感じていることは一緒です。