リーマン・ショックと東日本大震災で大きく落ちこんだ賃貸住宅の着工数は、その後、ある程度は盛り返したものの、1990年代のピーク時と比べると微増にとどまり、今後さらなる伸びが見込まれている。
需要側の事情もそれを後押しする。未婚率のアップや単身・夫婦2人暮らしが増えたことから世帯数が増え、賃貸需要が高まり、空室率が下がってきているのだ。
そういった背景から、土地活用において、賃貸アパート経営が変わらず注目されているのだが、実態は以前とは大きく異なっている。オーナー側では収益性に加え、地域貢献も視野に入れた経営を希望する人も増えているし、入居者側では、持ち家並みの機能を賃貸住宅に期待する傾向が強まっている。
賃貸在住者の3割が「コロナ禍の終息後、テレワークを続ける際は住み替えを検討したい」と回答したアンケート結果もあり、新しい生活様式に対応した賃貸住宅が人気を集めていくことは想像に難くない。<図1>
賃貸住宅に対するニーズが多様化・高度化するなか、オーナーにおいては、確かな知見と経験をもった信頼のおけるパートナーとともに、確固たる「戦略」を持つことが、これまで以上に求められているといえよう。
(YOMIURI BRAND STUDIO Creative Editor/Writer 二居隆司)
「土地活用をしたい」と思い立ったときに、第一の選択肢として多くのオーナーが頭に思い浮かべるのは、賃貸アパート経営だろう。近年とくに、賃貸需要が高まっているとなると、なおさら期待がふくらんでくる。とはいえ、建てた後に空き室をなくすためには、特に若い世代の入居者が求めている持ち家並みの「快適性」を備えた物件でなくてはならないし、責任あるオーナーとして耐震性・耐火性などにも配慮しなくてはならない。<図2>
以前に比べ、オーナーがクリアすべき課題は増えているのだ。
活用例
東京都内、最寄り駅から徒歩3分、
築30年、敷地約440㎡の1戸建てに
住んでいたオーナーの場合
土地を売却し、マンションを購入して住み替え、手元に資金を残すという計画を当初もっていたオーナーに対して、三井ホームでは、駅近という利便性と緑豊かな住宅街といった周辺環境のよさを生かすことで、より大きなメリットが得られると、所有している土地に自宅と賃貸住宅を併設する自宅併用型賃貸住宅を提案した。
同じ場所に住みながら、新たに安定した収入が見込める三井ホームの提案は、住み慣れた土地を離れることに抵抗を感じていたオーナーの心に響き、採用された。
周辺環境のよさとオーナーがすぐ隣に住む自宅併用ということから、入居者のターゲットをある程度の富裕層に絞ってプランニング。メゾネットタイプの2LDKを4戸、ゆとりをもたせたその上質な空間は、持ち家並みの機能を求める比較的若い世代のニーズとマッチし、完成後すぐに満室になった。
建て替える際には、2世帯住宅だった旧宅の敷地を半分に分け、新宅と賃貸住宅を順番に建てることで、自宅に住みながらの建て替えを実現、「建て替えのために何度も引っ越ししなくてすんだ」とオーナーに喜ばれた。
活用例
横浜市内、最寄り駅から徒歩6分、
約1300㎡の敷地に築50年を超える
賃貸住宅と駐車場を所有していたオーナーの場合
耐震性の問題から、建て替えを決めたオーナーが、三井ホームを含む数社に提案を依頼。以前から、建築コストを抑え、収益性を重視した賃貸住宅の建築に疑問を感じていたオーナーは、地域貢献と街づくりを意識した土地活用を希望していた。
三井ホームが提案した温かみのある外観やゆとりの配棟計画、「耐震賃貸」をうたう同社オリジナルのプレミアム・モノコック構法が、オーナーの希望と合致し、事業パートナーとして選ばれた。
ターゲットは単身者からファミリー層まで幅広く設定。1LDKと2LDKの2タイプ、4棟16戸を建築。
1LDKで36.86㎡とゆとりの間取りに加え、追い炊きや暖房乾燥機付きの浴室などの設備も充実させた。
時間を経ても魅力が色あせない、入居者同士のコミュニティーがしっかり感じられる「街づくり」をコンセプトとして、センターコートを中心に円形を意識した配棟で敷地を広くみせた工夫が、オーナーに高く評価される一方、明るいスパニッシュ調の建物の外観は、「おかげで街並みが明るくなった」と近隣住民の間で好評だそうだ。
賃貸住宅オーナーの悩みの一つが、空き室をいかになくすかである。初めての土地活用で、それを理由に二の足を踏む人も少なくない。そうした不安を解消してくれるのが、三井ホームの関連会社で、賃貸物件管理を手掛ける三井ホームエステートの「一括借り上げ」方式だ。先の活用例2の案件でも、同方式を活用し、事業リスクの軽減が図られている。
三井ホームエステートの「一括借り上げ」の仕組みと、同社がセールスポイントとする「ワンストップ対応」について、同社受託営業部の古橋和也さんは、こう説明する。
「不動産会社が賃貸物件を一括して借り上げる『一括借り上げ』ですと、不動産会社が賃料を払うため、空き室が生じた際の収入減というリスクが低減されます。また、入居者の募集から、家賃集金や清掃といったふだんの管理業務は不動産会社が行い、そうした手間からオーナー様は解放されるというメリットもあります。<図3>
さらに弊社の場合、修繕・リフォームや売却などについても社内で完結した仕組みがありますし、建て替えたいという要望に対しては、三井ホームが対応できます。最近増えている高齢のオーナー様や兼業でお勤めのオーナー様に対して、基本的にお手間をとらせない、すべてを安心してお任せいただける、そうした『ワンストップ対応』が弊社の強みです」
三井ホームエステートの場合、関連会社ということで、オーナーと三井ホームがどのような物件にするかを検討している段階から事業に加わることができる。前出の活用例1の案件でも、入居者ターゲットの絞り込みや、家賃設定の際に、三井ホームエステートの意見が取り入れられた。
「綿密な市場調査をもとに、オーナー様のニーズに応じた、ご提案をさせていただいています。われわれは賃貸物件の管理会社ですので、入居者に一番近いところにいます。多くのオーナー様が求めている入居者目線のご提案ができるよう、ふだんから心がけています」(古橋さん)
こうしたサポートがあるからこそ、オーナー、入居者それぞれにとって満足度の高い賃貸物件を提案することができるのだ。
土地活用の検討段階から実際に運営するところまで、一括して手厚くサポートできる三井ホームの総合力、それが土地活用の強力なパートナーで居続けられる理由の一つでもある。