INTERVIEWえほんのせんせい

親子で自由に、思いきり楽しめる「えほん」について、
ヨシタケシンスケさんの発想えほんシリーズなどを編集する沖本敦子さんに、お話を聞いてきました。

えほんのせんせい:沖本 敦子さん
ブロンズ新社編集者/物語好きの幼年時代を経て、こどもの本の編集者になる。編集を手がけた主な作品に「だるまさん」シリーズ(かがくいひろし)、ヨシタケシンスケの発想えほんシリーズ(『りんごかもしれない』他)『マルマくんかえるになる』(文・片山令子 銅版画・広瀬ひかり)など多数。
絵本のいいところが、全部入っていると思う大好きな1冊。『あかちゃんがやってくる』(ジョン・バーニンガム・作/ヘレン・オクセンバリー・絵/谷川俊太郎・訳 イースト・プレス刊)。
こども時代に読んでいた本は、今でも現役のものばかり。
親子にとって絵本はどんな存在ですか?
たのしむもの、です。幼年時代の読書は、とにかく親子でいっしょにたのしむ。それが自分だけの世界を作りあげる基礎工事になるんです。絵本は、文字と絵という最低限のシンプルな要素でできています。そこに、読み手の想像力や、読んでくれる人の声、その時の空気感、そんなものを補って、そのこだけの本の世界を完成させる。こういう作業を小さいうちにやっておくことで、その後の人生が豊かなものになっていくと思います。
読み聞かせをする時のコツはありますか?
あまり効能や成果というものを考えず、まずは親が好きだなと思う本を、心の底からたのしんで読む。それだけでいいと思います。
「本って、なんだかおもしろそうだぞ」という気配が、なんとなくでもこどもに伝われば、それだけで十分ではないでしょうか。本というのは、記憶装置としてもすぐれていて、読んでもらった時の声色や、その時の光や季節の気配、親が読んでいて笑った場面、そうしたささいな感覚を、1冊の本と共にこどもは驚くほど鮮明に記憶しています。かつて自分が慈しまれた記憶を、1冊の絵本は、鮮度を保ったまま、ずっと守りつづけてくれるのです。
絵本のいいところが、全部入っていると思う大好きな1冊。『あかちゃんがやってくる』(ジョン・バーニンガム・作/ヘレン・オクセンバリー・絵/谷川俊太郎・訳 イースト・プレス刊)。
大人になっても影響があるものなんですね?
絵本が守りつづけてくれた記憶は、成長してから自分の背中を後押しする力になってくれます。自分を大切に想ってくれる誰かと幸せに過ごした記憶は、いざというとき、心を内側からあたためて、行動するための力をくれます。絵本で培ったユーモアや知識は、社会を渡っていく上での頼もしい武器にもなってくれます。
未来の困難を乗り越える力になるんですね?
絵本や読み聞かせって、ふんわりしたイメージで語られることも多いのですが、こどもの本のつくり手たちが時代を超えて伝えつづけていることは、自分自身の思考や発想や機転で状況を変えていく賢さや、そうするための勇気や強さといった、現実的なメッセージだと思います。人生の手綱は、他人ではなく自分が握る。そんな心構えを、時代時代で手渡しつづけていると思います。ケストナー、リンドグレーン、エンデ、それから、昨年国際アンデルセン賞を受賞された角野栄子さん。わたしの幼年時代を彩ってくれたこどもの本の作家たちの作品には、一貫して強いメッセージがありました。なぜそれを伝えるのかというと「自分で自分の人生を切りひらいていった方が、人生はたのしいから」。結局はそこに立ちかえっていくのですが(笑)。
こども時代に読んでいた本は、今でも現役のものばかり。
絵本を読む理想の空間ってありますか?
親子が共に、リラックスできる場所で、安心感とセットで読んであげたいですね。ひざにのせて。ねっころがりながら。おふとんのなかで。おふろのなかで。お行儀よくなんてしなくていいから、くつろいで読んでほしい。このモデルハウスのようなすてきなお家だったら、階段の上と下で読んでみたり、庭でひなたぼっこしながら読んでもたのしそう。
ステキな家時間を過ごしたい親子にメッセージを。
本を読むことは、自分のなかに居心地のよい部屋をしつらえるようなものだと思います。自分しか入れない、自分だけの部屋。いやなことがあれば、その部屋はシェルターにもなるし、考えを深めたいときは、くつろげる書斎にもなる。部屋の内部は、本を読めば読むほど、豊かに洗練されていく。まずは絵本をたのしんで、心のなかに、ちいさな小部屋をもってもらえたら嬉しいです。

えほんのせんせい:沖本 敦子さん
ブロンズ新社編集者/物語好きの幼年時代を経て、こどもの本の編集者になる。編集を手がけた主な作品に「だるまさん」シリーズ(かがくいひろし)、ヨシタケシンスケの発想えほんシリーズ(『りんごかもしれない』他)『マルマくんかえるになる』(文・片山令子 銅版画・広瀬ひかり)など多数。

暮らし博士のまとめ親子の本をいっぱい並べられる、
プチ・ライブラリーのある家。

絵本が「子どもの記憶装置にもなる」とお聞きすると、お気に入りの絵本はずっと残しておきたくなります。そんな方には大人の本も、子どもの本もたっぷり豊富に収納できるプチ・ライブラリーをご提案。この空間で、本や絵本を通じて、家族でコミュニケーションできるとステキですよね。

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