
DESIGN
住まいにオリジナリティーを輝かせる、
内装材のバリエーション
JUL.12.2024
住宅に取り入れられる内装材は、クロスや塗り壁、布、木、タイルなど豊富なバリエーションが見られます。一般的にリビングや寝室には落ち着いた温かみを感じる素材、キッチンや洗面には耐水性のある素材、プライベートな空間なら大胆に遊び心を取り入れるなど、用途や暮らし方に合わせて機能性を考慮するのも大切なことです。また、時代とともにインテリアに対する意識は変化し、家具やアートをどのように見せるかをイメージして壁面の色やテクスチャを選ぶ、つまり壁面までを一体としてデザインすることで、オリジナリティーに富んだ空間を求める傾向も増えてきています。ここでは、空間の居心地を充分に楽しむための素材やアイデアを、実例を通してご紹介します。
表情豊かで機能性も高い、木に包まれる空間
木は、日本で昔から住まいに取り入れられてきた素材です。色の濃淡や木目など、種類によってさまざまな表情を見せてくれます。加工性の良さはもちろん、香りによって癒しの効果が得られるのも魅力。木材は壁材として使用すれば、部屋の雰囲気がぐっとナチュラルに感じられます。壁材によく用いられるのは、天然木化粧合板で仕上げた「ピーリング材」と呼ばれる壁板です。無垢材の木目と美しさはそのまま、加工して反りを少なくした丈夫な素材で、アクセントウォールや腰 壁としても取り入れやすいです。木は調湿性や保温性、吸音性に優れるうえに、木目や風合いの 楽しみがあり、年数が経つごとに趣が 生まれます。また、触れた時のやさしい 手触りやぬくもりは、暮らしをより快適にしてくれます。
色だけでなく、質感でも空間を印象づけるタイル
タイルは、粘土や鉱物などを焼き固めて作ったもので、耐久性や耐水性に優れています。陶器や磁器の質感を楽しむことができ、ポイントで使えばアクセントに、全体的に用いれば高級感が演出できます。最近よく使われているのは、空気を吸ってはきれいにしてくれる壁材、エコカラット。調湿機能、ニオイ吸着機能、有害物質吸着機能を持つエコカラットは、キッチンや洗面といった水回りはもちろん、リビングや寝室、玄関などにもおすすめの壁材です。デザインや種類も豊富なので、大きい面積にアクセント貼りで用いたり、ポスターやパネルのように空間に彩りを添える感覚で楽しんだり、好みに合わせて組み合わせれば、オリジナルのインテリアを楽しむことができます。
モダンなアートを飾るように、デザインを楽しむモザイクタイル
タイルの魅力は何といっても、独特の凹凸の質感と重量感です。バリエーションも豊富で、色や形、タイルの大きさ、艶があるかないかなどによって多種多様な楽しみ方ができます。また、陶磁器のタイルだけでなく、ガラスやミラー、石材を用いたタイプのタイルもあり、インテリアのアクセントや雰囲気づくりにも取り入れやすくなってきています。最近では、モザイクタイルと呼ばれる小型のタイルの貼り合わせや、ニューヨークやパリの地下鉄構内で使われていた光沢のあるサブウェイタイルが人気を集めていて、キッチンやサニタリーに設える方も増えています。小さな面積に使うだけでも、レトロな雰囲気を醸したり、エレガントさを演出することができるので、アートを飾るようにタイルを貼って楽しんでみてはいかがでしょう。
アクセントクロスを取り入れて自分だけの空間に
内装材で一般的に使われているのが、クロスです。バリエーションが多彩で予算や好みに合わせて選ぶことができます。壁面全体を統一するのも良いですが、「一面だけ」「一部分だけ」など、アクセントとして用いれば、空間に新たな魅力を放ちます。大胆な柄のクロスをプライベート空間の一面のみに貼ったり、お気に入りのデザインクロスなら、ケーシングで枠取りをしてアートのように設えたり、インテリア感覚で取り入れるのもオシャレです。最近インテリアにこだわる人たちの間では、部屋にうるおいをもたらすボタニカル模様や、独特のデザインの輸入クロスも人気があり、なかでも 19 世紀を代表するイギリスのデザイナーで「モダンデザインの父」とも称される、ウィリアム・モリスの壁紙は、今日でも世界中のファンに愛され続けています。
住まいのインテリアを考えるとき、居心地のよさを磨くことで、
暮らしにゆとりと快適さが生まれます。
空間の居心地をより楽しむために、内装材にこだわってみてはいかがでしょうか。