連載住み続けるための新しい選択「自宅併用型賃貸住宅」

「住み慣れた自宅」を活用して、
老後も豊かに住み続ける方法
2020.3.31

「住み慣れた自宅」を活用して、
老後も豊かに住み続ける方法
2020.3.31
オーナーの理想の暮らしをかなえるために、自宅を建て替え、賃貸経営をプラスする
「自宅併用型賃貸住宅」は、オーナーごとの要望や事情を考慮して、最適なプランニングを行う。
今回は「自宅併用型賃貸住宅」で、住み慣れた場所に住み続けることをかなえた
5組のオーナーをみていこう。
自宅の建替えを検討する際、オーナーによって要望や事情はさまざまだ。夫婦二人では広すぎるから減築したい、相続の際に分けやすいようにしたい……リタイア後であれば、当然、大きな費用負担には懸念を示すだろう。
このような一人ひとりの要望や事情に対応し、かつ建替え費用の負担を軽減するのが三井ホームの「自宅併用型賃貸住宅」だ。よく知られた賃貸併用型住宅はある程度決まったフォーマットのなかに、自分たちの暮らしを当てはめなければならないが、「自宅併用型住宅」で優先されるのは、オーナーのこれからの暮らしだ。
「長寿社会において、リタイア後の生活は何十年にも及びます。そのなかで大切にすべきは生活の質です。住み慣れた場所があるのであれば、そこに住み続けることが生活の質の向上につながるでしょう。その思いをかなえるのが『自宅併用型賃貸住宅』なのです。」
これから紹介する5つの「自宅併用型賃貸住宅」は、事情も要望も異なるオーナーが住み続けることをかなえたものだ。オーナーの暮らしを第一に考える、新しい形の賃貸経営のカタチをみていこう。
都内の主要駅から徒歩3分の緑豊かな住宅街の一角。築30年の一軒家に住んでいたオーナーは当初、約130坪の敷地を売却し、マンションに住み替えることを検討していた。一方で、マンションでの生活に抵抗があり、また愛着の深い住み慣れた場所に暮らし続けたいという思いもあった。
そこで、駅から近いという好立地であることや周辺環境の良さに注目し、「自宅併用型賃貸住宅」に建て替えることを決めた。
建替えの際に希望したのは「何回も建替えのために引越しをしたくない」ということ。そこで旧宅が縦割りの二世帯住宅だったことを利用し、まずは自宅の半分を、次に残り半分と庭部分に賃貸部分を建て、完成後にジョイントするという方法を採用した。
新しい建物の賃貸部分には、メゾネットタイプの2LDKを4戸配置。水回りなど一部の設備をグレードアップし、玄関ドアなどを洗練されたデザインのものにするなどして、高所得の入居者を獲得した。またオーナーはプライバシーが守られるか心配していたため、オーナーの自宅と賃貸住宅の入口は異なる道路に面するように配置。お互いのプライバシーを尊重するつくりにしている。
都内の閑静な住宅地。470㎡の敷地に建つ自宅は築35年が経ち、建替えを検討していた。以前から敷地全体を使ったマンション計画の提案を複数受けていたが、愛着のある庭がない生活に抵抗を感じ、どれもしっくりこなかった。
オーナーは最終的に収益性を優先させるのではなく、今まであった庭や木を残すことを優先した「自宅併型賃貸住宅」に建替えることを選択した。
オーナーの要望は大きく「1階ワンフロアで快適な居住空間を確保」「庭と一体化したウッドデッキ」「庭以外にも既存樹木を残す」「賃貸部は全戸収納を充実させ、近隣物件と差別化」「賃貸住宅に見えない邸宅風外観」という5つ。
完成したのは、賃貸のみの東棟と、1階は自宅、2階は賃貸となる西棟の2棟。瀟洒な邸宅風の外観で、愛着ある庭と樹木を最大限に活かした配棟が特徴だ。オーナーは「マンションを建て、自分は他の場所に移ることも検討したけど、住み慣れた場所に住み続けることができました」と話している。
都内の高級住宅地、800㎡の敷地に建つ邸宅のオーナーが、2人の子どもへの相続について考えはじめていたころ。そのときに出合ったのが「自宅併用型賃貸住宅」だった。
オーナーの希望は大きく「相続を見据えて建物は2棟にする」「自宅の建築費用は家賃収入でまかなう」「賃貸部は周辺の物件と差別化を図り、競争力のあるものにする」の3点。
そこで敷地と建物を均等に分け、賃貸住宅のみのA棟と、自宅と賃貸住宅兼用のB棟の2棟を建築。相続が発生した際には、分割しやすいようにした。
また周辺の賃貸物件は面積が広く賃料が高いため空室が目立つことに注目。合計6戸の賃貸部は面積を抑えつつ、上下階ひと家族で居住できるメゾネットタイプにして、高い家賃でも賃貸ニーズが見込める仕様にした。周辺の家賃相場よりも高額にも関わらず、建築中から入居希望者が殺到し、家賃収入で自宅の建築費用をまかなうというオーナーの希望をかなえた。
古い二世帯住宅に住んでいたある夫婦。しかし一緒に住んでいた両親は亡くなり、子どもは独立。広すぎる自宅を売却することを検討していたが、マンションでの生活はまったく想像できなかった。
そのときに知ったのが三井ホームの木造賃貸住宅。元々の二世帯住宅は気密性が低く冷暖房費が高額だったので、高い住宅性能を誇ることは絶対条件だった。また家賃収入で建築費を補填できることが決め手となり「自宅併用型賃貸住宅」に決めた。
当初、賃貸部と自宅を分棟することも検討したが、高台という立地に注目。3階建ての1棟にし、3階の自宅からは開けた眺望を楽しめるようにした。
9戸ある賃貸部は、単身・新婚向けの1LDKとファミリー向けの2LDKという複合的な間取りに。またキッチンやトイレ、浴槽などの設備はグレードの高い仕様にした。結果、満室経営を実現し、家賃収入で自宅建築費用をカバー。将来的な収入源も確保できた。
神奈川県川崎市。駅から徒歩5分という好立地にある、総面積約2,600㎡の広々とした敷地には、オーナーの自宅と4棟の賃貸住宅があった。賃貸住宅は老朽化が目立つうえ、自宅も二世帯住宅にしたいと、建替えを計画していた。
沿線と周辺地域の賃貸ニーズを分析したところ、当初考えていたファミリー層だけでなく、新婚世帯や高所得の単身者層をターゲットになることがわかり、自宅となる二世帯住宅のほか、メゾネットを始めとした多様な間取りの7棟の賃貸棟を建てることになった。
オーナーが希望した外観は、建物の高さを抑え四方に開ける建築様式である「プレーリースタイル」。中庭を中心とした配棟で、敷地外周部にも豊かな植栽を配置した。以前は古いアパートと草木が鬱蒼と茂った庭が広がっていたが、「自宅併用型賃貸住宅」として建て替えることで、建物は新しく、庭は美しく、地域に新しい街並みを創出した。オーナーや入居者はもちろん、地域の人たちにも喜ばれている。
取材・文/関根昭彦 撮影(人物)/杉能信介
※本インタビューは、2020年3月3日に収録したものです。