医師は一般的に高収入、しかも健康であれば70歳を超えても、働いて高収入を得られます(図1)。お金の不安はないように思えますが、“医師ならではのお金のリスク”があるのをご存じですか?医師のお金事情に詳しいファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんに、医師の家計に特有の問題点と対処法をお聞きしました。
勤務医として公立病院や私立病院、7カ所で仕事をしてきた田中武(仮名)氏59歳。
年収は2000万円超、家計管理は専業主婦の妻に任せている。息子は2人とも私立大学の医学部に進み、下はまだ大学生。クルマも家具も洋服も、買うならいいものをと考え、そうしてきた。先日「ねんきん定期便」が届いたので見てみたら、想像より年金額がかなり低い。預金通帳も確認してみたら、こちらもかなり少ない。これまで意識していなかったが、老後が気になり始めた。65歳の定年を過ぎても働くつもりだが、大丈夫だろうか……。
こんな心配を抱える医師は少なくありません。医師の3大マネーリスクは「年金」「投資」「教育費」。次のチェックから、具体的に見ていきたいと思います。
はじめに、以下の項目で当てはまるものをチェックしてみてください。
該当する項目の数が多いほど“マネーリスク度”は高くなります。それでは各項目に該当するとどんなリスクがあり、どのような対処法があるのかを見ていきたいと思います。
医師は多忙なため自分のことがおろそかになりがち。とはいえ、マイホームを建てたい、クリニックを開業したい、子供を医学部に進学させたいなど、今後のライフプランを実現させるためにはマネープランが欠かせません。それには「家計の実力を知る=現状把握をする」ことが大前提です。
家計の現状把握の基本は収支の把握です。家計の全体像を掴みやすくするために月単位よりも年単位が適切です。
現在の貯蓄額を確認し、年間の貯蓄額を把握してください。毎年いくらずつ貯蓄できているかを把握すれば、マンション購入や開業など、プランの実現に必要な金額をいつまでに用意できるか見当が付けられます。
また家計管理は、夫婦のどちらか一方に任せっぱなしにせず、家計の現状把握、お金の預け先や運用先の選定、今後のプランニングは夫婦で行うことをお勧めします。
医師の仕事を続けるためには、医療知識のアップデートやスキルアップが不可欠です。そのためにかかる学会費用や医学書等の書籍代、研究関連の費用は、医師ならではの必要経費。生活費と同様にライフライン支出の一種ともいえます。とはいえ、まとまった金額がかかっているはずなので無視できません。所属する医師団体の年会費等も含めて、年間いくらかかるのか一度チェックしていただきたいことです。