住まいづくりは一般的に、
思いどおりの建物を完成させることが目標で
エクステリアは後回しにする方が多いのではないでしょうか。
しかし建物とエクステリアは
一緒に考えることで住まいの表情が豊かになり、
暮らしも大きく広がります。
そこで美しくエクステリアを整えるための
3つのアイデアをご紹介します。
四季が感じられる樹木に囲まれた空間は、住む人や周囲の方達に癒しを与え、街並みや家を経年優化していくため、資産的に向上していきます。また玄関ドアを開けたときのアイストップ、道路や隣地から見たときの目隠しとなるため、機能的なメリットもあります。
魅力あるエクステリアにするためには、樹木の植栽は必須です。まずはアプローチ計画において、樹木を最低3本、アイストップを意識しながらトライアングルで囲む配置に置きましょう。立面で見たときにも高低差のあるトライアングルになるように計画します。
コンクリート舗装の夏場の照り返しによるまぶしさや、蓄熱作用による暑さは、住環境の悪化や街全体のヒートアイランド現象につながっています。また、コンクリート舗装は経年変化で汚れていくため、綺麗に保つことが難しく、将来的にリフォームしたくなった際も、大規模な解体工事が必要になります。
コンクリート舗装をする場合は最小限とし、コンクリートに代わる舗装材として、緑化ブロックや透水性インターロッキング等を積極的に採用しましょう。舗装をしない土の部分をなるべく残し、砂利やウッドチップ、杉皮のマルチング等で仕上げることで美観や環境にも良く、雑草防止にもつながり、反射熱も軽減できます。
〈コンクリートの場合〉
・経年劣化する(黒ずんで汚くなる)
・夏は暑い(蓄熱作用)
・リフォームしにくい(産業廃棄物として処分)
新築時において、予算と時間の多くをエクステリアに割くのは難しいという声が多いのが現状です。しかし、計画時は建物のことで頭がいっぱいでも、暮らしてみるとエクステリアの重要性に気づかれることが多いのも事実です。最初から庭でどういう生活がしたいか、どういうふうに住んで使っていくかを念頭に置いて計画し、3年間で完成形になることを目標にすれば、植栽計画をイメージしやすくなります。自宅の庭で自然と親しみ、心身の癒しを得られる体験は、戸建て住宅の醍醐味であり、豊かな生活につながります。新築時に全部を計画するのは難しくても、将来ウッドデッキやテラス、家庭菜園スペースなど、理想の庭の姿を目指して設計していきましょう。
庭は3年後に完成形になる。3年後の姿を目指して設計しましょう。
森本 幸裕(もりもと ゆきひろ)
京都大学名誉教授、 (公財)京都市都市緑化協会理事長、農学博士。日本緑化工学会、日本景観生態学会、国際景観生態工学連合ICLEE等で会長、中央環境審議会、文化審議会第3専門調査会等で委員を歴任。日本造園学会賞、第30回松下幸之助記念賞等を受賞。
三井ホームさんのような影響力を持つハウスメーカーが、環境問題に真剣に向き合ってつくられた「エクステリアフィロソフィー」を会社として推進していかれることは、大きな意義がある事だと思っております。
「雨庭」とは敷地内に降った雨を下水処理だけに頼るのではなく、コンクリート打ちの範囲を減らして敷地内で浸透できるようにすることで、下水処理能力を超えた氾濫を防ぎ、生物の生育地も増えるため生物多様性にも貢献できる庭のことです。また、緑を植えることで景観的なプラス価値が生まれ、地域や生活にもwell-beingな効果が期待できます。
緑を植えることに関して、管理やコスト面にフォーカスを当てて語られることが多いですが、本来日本には自然とうまく付き合い、折り合いを付けながら緑のもたらす多面的な効果を享受してきた文化があります。まさに子育ての様な視点を持ち、ほどほどの手間は楽しみに変えていただきながら、都市の中にも小さな緑地を作っていただきたいと思っております。一つひとつは小さくとも、合計で大きな面積になれば、地域の環境が一段と良好となり、コミュニティの交流にも役立つ潤いのある地域づくりにも貢献するでしょう。
「エクステリアフィロソフィー」のファサードに高さの異なる3本の樹を植えることを推奨する「トライアングルグリーン」にも大きな可能性を感じており、今後は各地域の環境に配慮した地域特有の植栽プランも増やしていっていただきたいと思っております。