ニュースリリース

2023.01.27
国土交通省 令和4年度「優良木造建築物等整備推進事業」に採択 3階建て大規模木造病院※1が着工
~建築地である長野県の木材も使用し、地域に親しまれる“かかりつけ医”の病院を再構築へ~

三井ホーム株式会社(本社:東京都新宿区、社長:池田 明)は、当社設計・施工の医療施設「(仮称)金澤病院」(事業主:医療法人三世会)が2023年1月に長野県佐久市で着工したことをお知らせいたします。

【本物件の特長】
  • 日本有数の木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)による大規模病院施設※2(延床面積:約3,900㎡)
  • 工法特性を活かし、柱のない広く開放的な空間を確保し、利用者やスタッフにとって効率的な院内動線や将来的な医療体制の変更にもフレキシブルに対応できるよう、可変性の高い病床計画に対応
  • 当社独自技術である「高性能遮音床システム Muteミュート」により、病室や手術室における上階からの遮音性にも配慮
  • 構造体を木造化することで炭素を長期間にわたって固定化し、脱炭素社会に貢献。一部に地元材である信州カラマツも採用し、国の補助金制度である令和4年度「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択

本施設は、医療法人三世会が長野県佐久市内で1965年に建築された病院施設の老朽化を機に、隣地の現駐車場に移転を進めている新築計画です。地域に親しまれる“かかりつけ医”の病院を再構築するという基本構想のもと、安心・安全、快適性の提供や環境への配慮に重点を置いた結果、木造枠組壁工法での建築を選択され、医療・介護分野を含め5,700棟以上の施設建築の実績をもつ当社が施工することとなりました。
日本でも有数の大規模木造病院施設となる予定で、昨年11月に千葉県佐倉市に竣工した「佐倉整形外科眼科病院」に続く取り組みとなります。
昨今では、2021年の「改正木材利用促進法」の施行や、昨年8月の「建築物木材利用促進協定」制度の創設などにより、民間建築物を含めた更なる木材利用の促進に向けた環境が整備されつつあります。
当社は、サステナビリティブランド「&EARTH with WOOD」を掲げ、今後も様々な用途での中層大規模建築物の「ウッド・チェンジ」を推進し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

  • ※1 医療法では20床以上の入院施設を有する医療機関を「病院」、19床以下の医療機関を「診療所」と区分される
  • ※2 (一社)日本ツーバイフォー建築協会が会員企業に行っているツーバイフォー建築の着工実績アンケート調査に基づく自主統計調査によると、同協会において施設系建築物の着工実績の集計が開始された2016年度から2021年度までの6ヶ年で、木造ツーバイフォー工法で建てられた医療施設は196件あり、そのうち病院は10件(5%)との調査結果が報告されている

1.物件概要

施設名称 (仮称)金澤病院
https://www.kanazawahp.or.jp/newhospital/
所在地 長野県佐久市岩村田町 807-1他(地番)
事業主 医療法人三世会
設計・施工 三井ホーム株式会社
設計協力 株式会社メドックス
建築用途 病院(82床)
規模構造 地上3階建て 木造枠組壁工法、耐火建築物
敷地面積 4,354.43㎡(1,317.22坪)
建築面積 1,882.79㎡(569.54坪)
法定延床面積 3,901.26㎡(1,180.13坪)
工事工期 2023年1月着工~2024年4月竣工予定
2024年6月開所予定

2. 本物件の特長

■木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)による耐火建築物
(1)1時間耐火構造
本施設は、3階建て以上の特殊建築物に該当することから、木造施設とするための要件である1時間耐火構造の基準をクリアしています。

(2)快適性・安全性の提供
利用者や本施設で働くスタッフへの健康配慮、足腰への負担・転倒時のケガのリスク軽減等のニーズに応えるため、人にやさしい木造施設とすることで、快適で安全・安心な院内環境と職場環境を提供いたします。

【人に優しい木の特性】

【高断熱な木材と枠組壁工法の特性】

(3)工法特性を活かした空間構成
枠組壁工法は、床面・壁面・天井面の六面体で構成するモノコック構造であるため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造に見られる構造上の柱型が存在せず、開放的かつ効率的な空間設計が可能です。本施設においても、その工法特性を活かし、利用者やスタッフにとって明るく開放的で、効率的な動線にも配慮した設計提案を行うことで、快適かつ機能的な院内環境を提供します。また、将来的な医療体制の変更にもフレキシブルに対応できるよう、建物の可変性にも配慮した設計としています。

柱型が出ることなく奥まで続いた2階中央病棟廊下
柱がなく、広々とした2階南東食堂談話室
外来に使用しやすく配置された1階中央待合室
南東に配置して開放的で明るい3階機能訓練室

(4)「高性能遮音床システム Muteミュート」の活用
集合住宅の床遮音のために開発された当社独自技術である「高性能遮音床システム Mute」を、本施設の特に高い遮音性能を求められる2階病室や1階手術室の各上階の床に採用しています。コンクリートを使わず制振パッドを挟む方法で遮音するため、短工期でかつ木のやわらかさを残しながら上階の音の伝播を低減させ、鉄筋コンクリート(RC)造と同等クラスの遮音性能を確保します。

■木造化による脱炭素社会への貢献
(1)建設時のCO₂排出量を大幅に削減
建築に使用する多くの資材は、その製造・加工・運搬の過程において、多くのCO₂が排出されることになりますが、「木」は生長過程でCO₂を排出せず、鉄骨やコンクリートよりも軽量で加工・運搬が容易であることから、木造建築はRC造や鉄骨造と比べて、建設時のCO₂排出量を大幅に削減できます。

(2)木材の建築物への使用により炭素を固定化する効果木造建築は長期間炭素を大気に戻さず建物内に固定化します。管理された森林において、CO₂吸収量が低下し伐採適期を迎えた「木」 を製材として活用し、新たに苗木を植林することで森林は再生されることから、循環型資源である「木」を建物に活用することは、脱炭素社会の実現に寄与します。
本施設は、構造体を中心に多くの木材を使用し、地域に親しみのある信州カラマツも一部に使用されていることにより、国土交通省の補助金である令和4年度の「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されています。

(参考)ニュースリリース
2022.12.1 枠組壁工法(ツーバイフォー工法)による木造3階建て耐火建築の病院が完成
https://www.mitsuihome.co.jp/company/news/2022/1201.html

佐倉整形外科眼科病院

三井不動産グループのSDGsへの貢献について

https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわち ESG 経営を推進しております。三井不動産グループの ESG 経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。また、2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、下記の通りグループ指針を策定しました。今後も、三井不動産グループは街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。

参考
・「脱炭素社会実現に向けグループ行動計画を策定」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1124/
・「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言および取り組み方針を策定」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1129_02/

※なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における5つの目標に貢献しています。

目標3
すべての人に健康と福祉を
目標11
住み続けられるまちづくりを
目標12
つくる責任つかう責任
目標13
気候変動に具体的な対策を
目標15
陸の豊かさも守ろう
SDGs
earth with good
3階建て大規模木造病院が着工 pdf[PDF版]
本件に関するお問い合わせ先

三井ホーム株式会社 広報グループ: 03-3346-4649

ニュースリリース