ニュースリリース

2022.12.01
枠組壁工法(ツーバイフォー工法)による 木造3階建て耐火建築の病院※1が完成
~スギの木1,900本分の炭素を貯蔵。人と地球にやさしい建物で地域医療の更なる発展に貢献~

三井ホーム株式会社(本社:東京都新宿区、社長:池田 明)は、当社設計・施工の医療施設「佐倉整形外科眼科病院」(建築主:医療法人社団 樹徳会)が2022年11月に千葉県佐倉市に完成しましたことをお知らせいたします。

【本施設の特徴】
  • 当社初の木造枠組壁工法による3階建て耐火建築の病院施設
  • 炭素貯蔵量 474t‐CO²※2(スギの木35年生で1,903本※3に相当)でカーボンニュートラルに貢献
  • 面構造の「揺れにくい」特性をさらに強化し、手術室を有する病院における安全・安心な医療環境を実現
  • 外観には「カーテンウォール」※4を採用。街並みにも印象的なシンプルかつモダンなデザインを演出
    内装には木や漆喰などの自然素材も用い、利用者やスタッフにもやさしく温かみのある院内環境を提供

本施設は、医療法人社団 樹徳会が千葉県佐倉市内で既に運営している病院の移転計画を機に、地球環境ならびに地域の利用者と院内スタッフにもやさしく温かみのある病院にしたいとの想いから、木造での建築を希望され、医療・介護分野を含め5,000棟以上の施設建築の施工実績をもつ当社が施工いたしました。
本施設は日本でも有数な木造耐火建築の病院施設※5となり、当社でも3階建て耐火建築の病院としては初の取り組みとなります。
昨今では、2021年の「改正木材利用促進法」の施行や、本年8月の「建築物木材利用促進協定」制度の創設などにより、民間建築物を含めた更なる木材利用の促進に向けた環境が整備されつつあります。
当社は、サステナビリティブランド「&EARTH with WOOD」を掲げ、今後も様々な用途での中層大規模建築物の「ウッド・チェンジ」を推進し、SDGsや脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

  • ※1 医療法では20床以上の入院施設を有する医療機関を「病院」、19床以下の医療機関を「診療所」と区分される
  • ※2 林野庁「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン(令和3年10月1日)」をもとに算出
  • ※3 スギの木1本あたりに固定された炭素量を68㎏として算出((国研)森林研究・整備機構森林総合研究所の算定解説より)
  • ※4 建築構造上取り外し可能な壁で、建物の荷重を直接負担しない壁(間仕切り壁と同様の非耐力壁)
  • ※5 (一社)日本ツーバイフォー建築協会が会員企業に行っているツーバイフォー建築の着工実績アンケート調査に基づく自主統計調査によると、同協会において施設系建築物の着工実績の集計が開始された2016年度から2021年度までの6ヶ年で、木造ツーバイフォー工法で建てられた医療施設は196件あり、そのうち病院は10件(5%)との調査結果が報告されている

1. 物件概要

施設名称 佐倉整形外科眼科病院
所在地 千葉県佐倉市大崎台三丁目 11‐17
建築主 医療法人社団 樹徳会
建築用途 病院(33床)
規模構造 地上3階木造枠組壁工法
耐火建築物
敷地面積 2,869.25m²(867.94坪)
建築面積 848.23m²(256.58坪)
法定延床面積 2,266.62m²(685.65坪)
工事工期 2021年11月着工~2022年11月竣工
設計・施工 三井ホーム株式会社
設計協力 株式会社メドックス

2. 本施設の特徴

■木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)による耐火建築物
①1時間耐火構造
本施設は、3階建て以上の特殊建築物に該当することから、木造施設とするための要件である1時間耐
火構造の基準をクリアしています。

②脱炭素社会の実現に貢献
「木」は鉄やコンクリートに比べて、製造・加工・運搬時に必要とされるエネルギーが少ないため、木造建築は建設時のCO₂排出量を大幅に削減します。また、木造建築は長期間炭素を大気に戻さず建物内に固定化(貯蔵)します。本物件での木材の総利用量は 580m³となり、炭素貯蔵量(CO₂換算)は474t‐CO₂、これはスギの木(35 年生)換算で約 1,903本に相当します。
管理された森林において、CO₂吸収量が低下し伐採適期を迎えた「木」 を製材として活用し、新たに苗木を植林することで森林は再生されることから、循環型資源である「木」を建物に活用することは、脱炭素社会の実現に寄与します。

木材の循環利用のイメージ

③快適性・安全性の提供
利用者や本施設で働くスタッフへの健康配慮、足腰への負担・転倒時のケガのリスク軽減等のニーズに応えるため、人にやさしい木造施設とすることで、快適で安全・安心な院内環境と職場環境を提供いたします。

【人に優しい木の特性】

【高断熱な木材と枠組壁工法の特性】

■プランニング上の特徴

①外観デザイン
視認性が高い前面道路側のファサード面には「カーテンウォール」を採用。ガラス張りの開口部をふんだんに用いることで、構造強度を確保しながら、周囲の街並みからもインパクトのあるシンプルかつモダンな外観デザインを実現いたしました。これにより、道路に面した1階カフェテリアや2階のリハビリ室の十分な採光確保と開放感にも寄与しています。

カーテンウォール

②医療環境に配慮した空間設計・構造強化
本施設は1階にMRI室、2階に手術室を設けていることから、検査機器や手術室天井裏へのクリーンユニット等の設置も考慮し十分な階高を確保することで、2階のリハビリ室は3m、1・2階のその他のゾーンは2.8メートルの天井高としています。また、枠組壁工法は、モノコック構造※6であるため、比較的揺れにくい構造特性を有していますが、手術室の床根太には、製材ではなくたわみの少ない集成材を利用し、通常よりも床根太の間隔を狭くしたり、階下に支持壁や柱を配し構造強化することで、手術中の振動抑制にも配慮しています。

  • ※6 基本となる枠組と、面材で形成された床面・壁面・屋根面を6面体で構成した堅牢な構造。

③地域の利用者やスタッフにとって心地よい空間を提供
明るく開放的な待合ラウンジ、180㎡超の広さを有しストレスなく利用できるリハビリ室、その他天然木・漆喰などの自然素材や木調内装材を随所に取り入れるなど、地域の利用者やスタッフにとっても、やさしく、温かみのある院内環境を提供しています。

明るく開放的な待合ラウンジ
木の温かみあふれるカフェテリア
180m²超のリハビリ室
吹き抜けに立つ千葉県産檜の御柱
木質感漂う、3階病室前の廊下
漆喰の壁・天井、木づくりの床頭台を配した病室

3. 工事中写真

三井不動産グループのSDGsへの貢献について

https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/esg_csr/
三井不動産グループは、「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、人と地球がともに豊かになる社会を目指し、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)を意識した事業推進、すなわち ESG 経営を推進しております。三井不動産グループの ESG 経営をさらに加速させていくことで、日本政府が提唱する「Society5.0」の実現や、「SDGs」の達成に大きく貢献できるものと考えています。また、2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、下記の通りグループ指針を策定しました。今後も、三井不動産グループは街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。

参考
・「脱炭素社会実現に向けグループ行動計画を策定」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1124/
・「ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言および取り組み方針を策定」
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1129_02/

※なお、本リリースの取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)における5つの目標に貢献しています。

目標3
すべての人に健康と福祉を
目標11
住み続けられるまちづくりを
目標12
つくる責任つかう責任
目標13
気候変動に具体的な対策を
目標15
陸の豊かさも守ろう
SDGs
earth with good
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本件に関するお問い合わせ先

三井ホーム株式会社 広報グループ: 03-3346-4649

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