ニュースリリース

2012.09.10
住宅業界初の創・蓄・省エネルギー設備や、最新の環境・エネルギー技術を結集
「次世代スマート2×4 MIDEAS(ミディアス)」が完成
~柏の葉実証実験住宅 11月より実証実験を開始~

三井ホーム株式会社三井不動産株式会社アンド・アース

三井ホーム株式会社(本社:東京都新宿区、社長:生江隆之)は、三井不動産株式会社(本社:東京都中央区、社長:菰田正信)によるスマートシティプロジェクトが進行中の千葉県・柏の葉キャンパスエリアにおいて、「暮らし継がれる家」木の家ツーバイフォー工法による実証実験住宅「次世代スマート2×4 “MIDEAS”」を、9月4日(火)に完成させました。

“MIDEAS”は、木の家の特長である鉄骨やコンクリートには無いCO2を蓄積する能力と、ツーバイフォー工法が持つ高断熱・高気密性をベースに、新たに開発した創・蓄エネ技術と環境技術を結集したLCCM住宅です。
三井不動産グループは、柏の葉キャンパスエリアにおいて、環境やエネルギー問題に対応した安心・安全・サスティナブルな街づくり、世界最先端の知と技術で課題解決型の街づくりを目指す「柏の葉スマートシティプロジェクト」を推進しています。

三井ホームは、この「柏の葉スマートシティプロジェクト」に参画しており、最新の技術を結集した「次世代スマート2×4“MIDEAS”」において11月に実証実験をスタートします。今後実証実験から得られる成果を次世代スマートハウスの開発ならびにリフォーム事業につなげ、エネルギー使用量のさらなる削減と、健康・快適性能の向上など新たな価値を両立させる家づくりを行なってまいります。

  • MIDEAS

M(三井ホーム)+IDEA(アイデア)+S(複数形)からなる造語です。三井ホーム次世代住宅のアイデアを集約した実験施設を意味します。同時に未来(Mirai)に向けて理想や原型(IDEA:ラテン語のイデア)を示す、2重の意味を込めています

  • LCCM

Life Cycle Carbon Minusの略称。住宅の長い寿命の中で建設時、運用時、廃棄時においてできるだけの省CO2に取り組み、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーの創出によって、住宅の一生涯におけるCO2収支をマイナスにする住宅のこと。

MIDEAS外観

柏の葉キャンパス地区では、「世界の未来像をつくる街」を目指し「公・民・学」連携によるスマートシティの街づくりが進められています。「柏の葉スマートシティ」では、エネルギー問題への対応にとどまらず、「環境共生都市」、「健康長寿都市」、「新産業創造都市」の3つの課題解決モデルを提示し、安心・安全・サスティナブルな、未来都市モデルの構築を進めています。

三井不動産グループはこのプロジェクトに計画段階から参画し、住宅から商業施設までさまざまな事業を展開しているほか、大学や行政等と連携して地域レベルでのエネルギー制御やコミュニティ形成、次世代交通システムの構築など最先端の取り組みを進めています。また三井不動産株式会社および三井ホーム株式会社は、柏の葉スマートシティモデルの構築を担う環境関連のリーディングカンパニーで構成される異業種企業コンソーシアム「スマートシティ企画株式会社」に中核企業として参画しています。

次世代スマート2×4“MIDEAS”実証実験概要・特徴について

1.実証実験目的

(1)オリジナルパッシブ環境技術の検証

  • 現在、研究・開発を進めているパッシブ環境技術について、複合的に組み合わせた実証実験を実施します。
  • 自然と共生した環境技術は建物設計にとどまらず、エクステリアとの一体性についても、入居実験を通じて検証します。

(2)エネルギー・スマート技術の最適化

  • 太陽光発電、蓄電池、アシスト電源による電気エネルギーのマネジメントの最適化を目指した実証実験を実施します。
  • 最新のスマート技術及び今後実用化が見込まれる技術を導入し、魅力あるライフスタイル提案における独自のアプリケーション開発を目指します。

(3)柏の葉スマートシティAEMSの実証実験への参画

  • 柏の葉スマートシティプロジェクトにおけるエリアエネルギーマネジメントシステム(AEMS)と“MIDEAS”との連携接続と、今後柏の葉キャンパスエリアで開発される戸建街区への展開を視野に入れたAEMSの拡張性を検証します。
  • 連携された施設と住宅について、発・受電量、消費電力量などエネルギー利用の効率化と地域相互の最適化を検証し、将来のスマートグリッドへの可能性の検討を開始します。また、電力供給が切迫することが予想される際に、AEMSが“MIDEAS”などに設置された電機設備を制御することも想定し、検証します。

2.最新技術を導入したLCCM住宅
この“MIDEAS”では高断熱・高気密の木の家ツーバイフォー工法と最新の高効率のスマート設備を導入し、CO2排出量の削減を実現しています。最新の環境技術の導入により、従来の次世代省エネ住宅と比較し消費電気エネルギーを半減させることが可能となり、この“MIDEAS”ではライフサイクル全体を通じて排出されるCO2が72年でマイナス収支を達成します。ここでは先導的なLCCM住宅の有効性を確認していきます。

3.建物概要

名称
「次世代スマート2×4 柏の葉実証実験住宅 MIDEAS(ミディアス)」
所在地
千葉県柏市若柴
敷地面積
305.03m²(92.27坪)
建築面積
106.61m²(32.24坪)
延床面積
168.50m²(50.97坪)
構造
ツーバイフォー工法(枠組壁工法)Gウォール構法 2階建
CASBEE戸建-新築(2010年版)環境効率S☆☆☆☆☆申請中
LCCM住宅☆☆☆☆☆申請中
設備・建材
(実証実験項目)
  • (業界初)EVワイヤレス給電 受電部:電気自動車 送電部:駐車場床
  • (業界初)ダブル蓄電池 リチウムイオン(蓄電容量 5.53kWh×2台)交互運転制御
  • (業界初)アシスト電源(ディーゼル発電機) 軽油燃料(定格出力 7kw)HEMS連動
  • (業界初)地域AEMSに連携したHEMS「MIDEAS HEMS」エネルギーの「見える化」以外に住機能支援のためのセンサー類と連携
  • (業界初)手振りによる「ナチュラルユーザーインターフェイス」Kinect(キネクト)活用操作システム
  • (業界初)住宅機能モニタリングセンサー(振動、気象、温湿度照度、耐久性)
  • SMART-WINDOWS(スマートウィンドウ)システム
    ※国土交通省 平成24年度 住宅・建築関連先導技術開発助成事業(継続)
  • 潜熱蓄熱材利用ダブルスキン・パッシブ換気システム
    ※(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
    太陽熱エネルギー活用型住宅の技術開発として実施
  • 太陽熱ソーラーシステム 電気給湯器(貯湯タンク 420L)
  • 次世代トータル空調システム 冷房/暖房
  • 屋根一体型太陽光発電システム 単結晶型(発電能力 10.26kW)
  • タッチユーザーインターフェイス対応端末(住生活支援・創造アプリ組み込み)
    その他設備 太陽光発電フィルム、EVパワーステーション、赤外線リモコン、高効率熱交換換気システム、LED照明、電動ブラインド/タープ 照明調光システム
  • 枠組壁構造用製材:北海道産カラマツ(三井不動産グループ会社)
  • 構造材リユース(モデルハウス解体・分別材):間仕切壁、ウッドフェンス
  • リサイクル材:ルーフガーデンデッキ材(三井ホームコンポ―ネントランバー端材)
  • 国産材木製サッシ
  • その他建材:蓄熱蓄熱パネル、珪藻土内装材、外部熱処理木材

4.建築工期並びに公開・実証実験予定期間

  • 建築工期 平成24年 3月30日(金) ~ 平成24年 9月 4日(火)
  • 公開期間 平成24年 9月10日(月) ~ 平成24年11月9日(金)(予約制)
  • 基礎実験 平成24年 11月12日(月) ~ 平成25年 9月30日(月)
  • 入居実験 平成25年 10月 1日(火) ~ 平成27年11月30日(月)

5.開発要素技術と実証実験

(1)室内の温熱環境向上技術 ~自然を活かすテクノロジー~

ツーバイフォー住宅の国内最高水準の断熱・気密性と、自然の力を活かしたパッシブ技術と省エネ機器などによるアクティブ技術とを融合させることにより、電気使用量の約50%の削減が見込めます。この実証実験棟では少ないエネルギーで快適な生活をおくることを研究します。

“MIDEAS”では、ビルなど高層建築で用いられているダブルスキン(2層壁)を取り入れています。室内側の壁に水又は潜熱蓄熱材を組み込むことで、太陽熱を集熱・蓄熱し、冬の暖房エネルギーを削減する効果や、室温の安定化などエネルギー利用の最適化を検証します。

室内の温度差や圧力差を利用したパッシブによる通風制御に加え、センサー技術を活用して自動的に窓を開閉するなどの換気効率を確認します。

【主な実証実験項目】

  • ダブルスキン
  • ウォーターウォール+パッシブ換気
  • 次世代トータル空調システム
  • スマートウィンドウ
  • 高効率熱交換換気システム
  • 空調通風自動制御システム
ダブルスキン、ウォーターウォール内観及び構成図
スマートウィンドウ 次世代トータル空調システム構成図

(2)エネルギー自給自足技術

住宅業界初となる電気エネルギーの自給自足に向けて、創・蓄エネルギー設備の最適な運転制御を検証します。創エネでは系統電力に頼らず、住宅独自で必要な電気をまかなえるように、一日の電気使用量に対応した大容量の屋根一体型太陽光発電システムの設置や、電気自動車に対応したパワーステーション(VtoH方式)を導入しています。また、磁界共鳴技術を使用した、ケーブルを必要としないEVワイヤレス充電設備(住宅業界初)も設置。金属接触部がないため、ケーブル敷設やコンセント接続の必要がありません。

バックアップ電源として住宅業界で初めてHEMSに対応する発電機を導入し、さらに蓄電池を2台使用した交互運転についても日本初の実証実験を行います。

また、太陽熱給湯システムにより、ガスや電気の使用量を半分に削減することが可能となり、自給自足生活を支援いたします。

【主な実証実験項目】

  • 太陽光発電システム
  • ダブル蓄電池
  • アシスト電源(発電機)
  • EVワイヤレス給電
  • EV/VtoHシステム
  • 太陽熱給湯システム等
電気エネルギー自給自足システム概念図
EVワイヤレス給電

(3)住生活創造アプリケーション ~住まいを未来へ導く先端技術~

魅力あるクオリティオブライフの提案のために導入した「MIDEAS HEMS(ミディアスヘムス)」(オリジナル)は使用電力量などのエネルギー情報に加え、室内の温湿度や照度、気象情報などの生活情報を取得し、窓やルーバー、照明、家電製品などをコントロールできる機能を備えており、基礎実験及び入居実験を通じて実用化を目指します。

このHEMS表示画面に表示されるエネルギーの使用状態や生活情報は、ユーザーの意見を参考に、楽しく直感的に状況を把握できるように、水槽を泳ぐ熱帯魚の種類や数などで、数値表示だけでない「見せる化」を意識した点が特長です。

さらに、柏の葉キャンパスエリアのAEMSに「MIDEAS HEMS」を組み込むことにより、地域エネルギー情報との連携についても実証を行ないます。

また、家庭用ゲーム機用モーションセンサーの「Kinect(キネクト)」を住宅業界で初めて導入し、手振りでテレビや照明、カーテンなどの操作を可能にする「ナチュラルユーザーインターフェイス」の実証実験を行います。一方、「タッチユーザーインターフェイス」はタブレットやモニタ端末のタッチ操作によって、HEMS情報の表示やコントロールを行うことができます。また既存のHEMSとアプリケーションを分離し、ソフトの追加やバージョンアップを容易にしたことで、ソフトウェアによって進化するHEMSとなります。なお、“MIDEAS”においては手振りによるナチュラル操作と、タブレットによるタッチ操作との違いを確認します。

【主な実証実験項目】

  • MIDEAS HEMS
  • タッチユーザーインターフェイス
  • ナチュラルユーザーインターフェイス(Kinect活用操作システム)
  • 柏の葉キャンパスエリアの「AEMS」と「MIDEAS HEMS」の連携
MIDEAS構成図
タッチユーザーインターフェイス/HEMS表示画面 ナチュラルユーザーインターフェイス(Kinect活用操作システム)
柏の葉キャンパスのAEMSと連携した「MIDEAS HEMS」

(4)住宅モニタリングセンシング技術 ~住まいを見守る~

住宅の維持管理や住機能支援のために様々なセンサーを設置します。

個別住宅の地震による損傷度をモニタリングセンシング技術により、災害時の被害状況などをすばやく把握し、点検・復旧を支援します。構造躯体内部に水分を感知する「耐久性モニタリングセンサー」を設置し、万一の雨漏れや結露を感知し、居住者に知らせることで耐久性の低下を未然に食い止めます。

また、住宅業界初の試みとして室内外に気象センサーを設置し、個別住宅の気象データをリアルピンポイントで観測します。さらに、温湿度照度センサーは気象観測センサーから得られたデータを活かしながら「MIDEAS HEMS」を経由して窓の開閉や自動制御など室内環境を調整します。将来的には外部の気象情報サービスとの連携により、快適で利便性の高い住まいづくりを目指しています。

【主な実証実験項目】

  • 地震観測センサー
  • 気象観測センサー
  • 温湿度照度センサー
  • 耐久性モニタリングセンサー
気象・地震観測システム 温湿度照度センサー

(5)トータルグリーンシステム ~居心地のよいGreen Court~

緑のつながりに、心潤う暮らし、環境共生時代のエクステリアを研究テーマに実証実験を行います。住宅に緑を取り入れることで、室温や宅地内の外気温を下げることが可能になります。“MIDEAS”ではそれらを実証するために緑化を施したルーフガーデンや室内で野菜の栽培・収穫が出来る設備「おやさい工房」を設置しています。

また、ウッドデッキ下の地中に雨水利用タンクを設置しています。貯まった雨水は、ウッドフェンスに組み込まれた太陽電池パネルにより発電し蓄電池に蓄えられた電力によってポンプアップされ、植物へ自動散水されます。

【主な実証実験項目】

  • 地中雨水活用システム
  • ミストシステム
  • 生物環境の創造
  • ウッドフェンスソーラー
  • 「おやさい工房」
  • ルーフガーデン
フェンスソーラー おやさい工房

6.共同研究機関
(1)地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 建築研究本部 北方建築総合研究所

※SMART-WINDOW(スマートウィンドウ)システム
※空調・通風自動制御システム
※柏の葉実証実験住宅の総合評価

(2)岩手県立大学

※潜熱蓄熱材利用ダブルスキン、ウォーターウォール+パッシブ換気システム

(3)国立大学法人信州大学

※地震観測センサー

アンド・アース」ロゴについて
三井不動産グループでは、グループのロゴである「アンド(アンド)」マークに象徴される「共生・共存」、「多様な価値観の連繋」の理念のもと、グループビジョンに「アンド・アース(アンド・アース)」を掲げ、当社グループのまちづくりが常に地球とともにあることを認識し、人と地球がともに豊かになる社会をめざしています。
アンド(アンド)」マークの理念とは、これまでの社会の中で対立的に考えられ、とらえられてきた「都市と自然」「経済と文化」「働くことと学ぶこと」といった概念を、「あれかこれか」という「or」の形ではなく、「あれもこれも」という形で共生・共存させ、価値観の相克を乗り越えて新たな価値観を創出していくもので、平成3年4月に制定されました。

本件に関するお問い合わせ先

三井ホーム株式会社 広報部 広報グループ : 03-3346-4649

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