多彩な空間表現を生む化粧漆喰〈後編〉
スタッコ

2021.03.22

前回、イタリア漆喰は材料だけ輸入しても素材特性を充分理解していなければ、美しく活かすことができない、とスタッコ社創業者の甘竹正明さんからお聞きしました。素材の深い知識と特殊な左官技術を結実させることで、スタッコ社のイタリア漆喰は完成します。今回は、現在同社代表を務める息子の甘竹繁人さんに、化粧漆喰が織り成す新たな表現について伺いました。

視野を広く、自由な発想で。

スタッコ社の商品カタログには、まるでクロコダイルレザーのような模様の壁面サンプルも用意されています。こちらも紛れもなくイタリア漆喰によるもの。上塗りの後、特殊な型を丁寧に押し当てることで複雑な模様を生み出していきます。
「つい先日、“海のさざ波”をイメージした壁面を、という注文が入りました。どの漆喰材を使いどのように仕上げていくのか。コテで成形するのか、型を使うのか、それとも新しい手法を考えるのか……と、職人たちと話し合いながら、何度も試作を繰り返します。施主さまのイメージを現実化させる難しさはありますが、楽しくやり甲斐がありますね」
様々なアイデアを実現させるため、海外のウェブサイトやSNSなどで化粧漆喰の本場であるヨーロッパの施工例を探し、画像や動画などを参考にすることもあるとか。そんな広い視野を持った真摯な姿勢が実り、上質かつ斬新な内装表現の場は個人邸から美術館や劇場、ホテルやブティック、レストランなどにも広がっていきました。手掛けられるイタリア漆喰の空間は、美しさに加えメッセージ性や芸術性に溢れています。
「最近は和の趣のある空間に、イタリア漆喰を合わせたいという要望も増えてきました。漆喰材に“藁すさ”を加えて、土壁のようなニュアンスを出すとか。まだアイデアレベルですが、漆塗りの黒と漆喰の黒を組み合わせて、質感が異なる2種類の黒を同時に表現することも考えています」

より身近に、環境に優しい漆喰装飾を。

イタリア漆喰の魅力は、内装だけにとどまりません。同社では、最小60×60cmのサイズのイタリア漆喰を額装し、アートパネルとして販売。洗練されたインテリアに新しい趣を与えてくれます。
「発色や質感の良さはもちろん大事なのですが、一方で天然由来の環境配慮型素材を中心に選んでいます。外壁用には、化学原料は一切使わず自然界に存在する原料のみで配合した漆喰材もあります。そもそも漆喰は調湿性に優れていますので、住環境には最適。身体に優しい機能的な素材といえます」
イタリア漆喰がかなえる新しい空間が、次々生まれてくる予感がします。
MITSUI HOME PREMIUM世田谷レジデンスでは、シーリングライトの明かりを受け、ゴールド調の模様が浮かび上がるスタッコ社が手掛けたイタリア漆喰の天井が見られます。他の壁面や軒天にもアクセントとして使用。場所によって味わいが異なる化粧漆喰の妙味を、ぜひご高覧ください。

MITSUI HOME PREMIUM<br>世田谷レジデンス
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世田谷レジデンス

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